仁義なき戦い 〜ベランダのシマ争い編〜

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我が家のアパートは田んぼに面しているためか、虫が多く、それをエサにしているせいか、蜘蛛がやたらと多い。恥ずかしながら、玄関外のドア上部や、インターホン周りにも蜘蛛の巣が張っており、たまに掃除するようにしている。(たまに。)家に入る際、蜘蛛の巣のできそこないみたいなのに引っかかって「ウッぷ」となる時もある。

家の中にも蜘蛛がいらっしゃる。蜘蛛の巣を張っていなければ、基本的にはそのままにしているが、先日は、うがいをするために上を向いた際、上から

ツーーーっ

と降りてくる蜘蛛と目が合ってしまい、慌てて、はたいてしまった。どこかに逃げて行ったと思う。我が家には使っていないロフトがあるが、そこに上がるための使っていないハシゴをリビングの壁にかけている。普段は気づかないのだが、そのハシゴの上部に天窓から差し込んだ陽の光が当たると、何かキラキラした線が浮き出てくる。

「あ、蜘蛛の巣…。」

そんなに発達していなかったと思うので、家の中だけど例外的にそのままにしている。

さて、そんなわけで、まさに田んぼ側に面しているベランダの隅々には、多くの蜘蛛の巣が張られている。隅っこの方であまり影響がないため、これも基本的にはそのままにしている。

しかし、たまに、2本並んだ物干し竿にわたって張ろうとしてくる蜘蛛もいる。それを見つけたら、申し訳ないが巣を払ってから、洗濯物を干している。基本、土日しか外で洗濯を干さないため、平日は蜘蛛も、

「わーい♪人がいないぜ、ラッキー♪なんか張りやすそうな2本の棒がある〜♪」

的に巣を張るのだろう。それらは、土曜の洗濯時には払ってしまうので、翌週そこに張られていることはあまりない。

だがしかし

数ヶ月ほど前からずっと、物干し竿の端っこの同じ場所に張ってくるヤツがいる。ベランダの塀の手すりの向こう側から、物干し竿を支える金具、そして、物干し竿の端にまで巣を伸ばしてきているのだ。

もちろん、はじめは他の巣と同様、土曜には払っていた。一応、配慮して、洗濯を干す部分だけ払うようにしていた。しかし、ヤツは中々にしぶとい。翌週になると、また同じ場所にまで巣を伸ばしている。

「いや、だからさぁ、こっちには伸ばさないで?」

と思いながら、ちょっと申し訳ないけど、また払う。しかし、また翌週には張られている。その繰り返しである!

ある日、洗濯を干す前に、チラッと家の中から様子を眺めると、いた!この距離からでもわかる、2センチほどの真っ黒いヤツが!

「こいつかぁ〜ふふふん。」

扉を開けると、さっ、と塀の隙間に隠れた。

「ここにおるのね、ふふん。」

そんな、ヤツとの週に一度の攻防戦が幾たびか繰り返されたのち、私は意を決し、ある行動に出た。台所から、菜ばし用に使っていた古びたコンビニ箸を2本取り出し、その2本で蜘蛛の巣の一掃をすることにしたのである!

蜘蛛の巣を巻き取るのには、箸がちょうどよい。2本で掴むようにしたり巻き取ったりしながら、物干し竿はもちろんのこと、物干し竿を支える金具、そして、ベランダの塀や手すりの巣まで根こそぎ刈り取った。ついでに、ベランダの隅にすくっていた巣も、できる範囲で巻き取っていった。しゅるるるるるるるる………

にやり。

パンダ自慢げ(ぺぺーん)
誇らしげなパンダさん

「巣を作るならほかで作っておくれ。」

その翌週、洗濯を干しに出てみると…

毎週張られていた巣が、ない!!ないないない!やったー!私は見事勝利をおさめた!攻防戦に終止符を打ったのだ!

その翌週も…

やっぱりない!根こそぎ作戦、大成功!!これで心置きなく洗濯が干せるわ…!そんな、すがすがしい気持ちで天を見上げた時…

ん?

んん?

なんじゃこりゃー!!

パンダ焦る(どへー!)
パンダさん、倍返しされるの図

ベランダの塀の手すりから、ベランダの天井にわたる2m以上もの空間に、キラキラした線が…。ヤツは、攻防戦の時より10倍、いや、20倍以上も大きい範囲で、新たなる巣を作り出そうとしていたのである。

おそるべし。

しかし、この場所なら邪魔ではないし、家に入ってくる羽虫も捕らえてくれるし、まあいっか。ということで、今はその巣の成長を見守っている。いつかまた、物干し竿に進出してきた時に、再び攻防戦をくりひろげるのを楽しみに。

パンダ挨拶(ら!)
またね!

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