
私はバンドのボーカルとして、地元で音楽活動をしている。
オリジナル曲のCDアルバムを自主制作したり、YouTubeでミュージックビデオを配信したり、もちろんコロナ禍まではライブもしていたが、今は1年半以上、リアルライブを自粛し、音声配信アプリでメンバーと弾き語りライブの定期配信をしている。
我々のバンドのウリは、歌詞だ。
歌詞の世界観を引き立たせるメロディやギターアレンジ、ハーモニーを武器としている。歌ウマのような分かりやすい「技術の高さ」や「華やかさ」ではなく、どちらかというと、飾りっけがなく素朴ではあるが、「誰かの力」や「救い」になる、いわば
純文学のような音楽
を届けたいと思っている。エンタメ小説のように読みやすくなくても、予想を裏切る大どんでん返しがなくても、美しい文章で人の心を丁寧に描き、心の奥にグッと突き刺さる、純文学の様な音楽を。
多くはないが、我々にはファンがいるし、もっと多くの人に届けたいと思っている。だがしかし、初見の人にファンになってもらうのは、本当に難しいものだ。それは、音声配信アプリで定期配信を始めて、さらに強く感じている。
初見の人には「歌のうまさ」「ええ声」、オリジナル曲なら「楽曲のよさ」を、スマホを通した「音」だけで「短時間」で感じてもらわないと、なかなか次に繋がらないのだ。
特に最近、その音声配信アプリ内で企画があり、我々は音源の審査により総勢212組から選ばれた66組に残り、公開予選会に出場することになったのだが、リスナー投票により、応募カテゴリ内最下位で負けてしまうという、出来事があった。

こういった時、どこへ向かうべきなのか本当にわからなくなる。どうやったら人の心に届くのだろうか?
機材の問題?(良いマイク?声にエコーを?)
練習不足?(毎日何時間の練習が必要?)
楽曲のインパクト?(ネタ的?耳触り優先?)
想いの量?(音楽への愛が足りないのか?)
何度も聴くことで歌詞が沁み入るような音楽を目指しつつも、やはり、第一声で「ガツン」と人を惹きつけられるようにもなりたい。そうでないと、なかなか見向きもされないし、興味のない人を振り向かせることができない。スマホ一つで誰でも簡単に音楽を発信できる「大量ミュージシャン時代」だからこそ難しい。
そんな感じでここ数日、モヤモヤしていた。

しかし、そんな中、今季の秋アニメ『ブルーピリオド』の第3話を見て、勇気が湧いてきた…!
【以下、ネタバレ注意】
『ブルーピリオド』は、今まで絵画とは縁のなかった高校生の主人公が、絵の世界に目覚めて、国立の超難関「東京藝術大学」を目指す物語だ。チャラそうだが実は努力家な彼が、絵の予備校に通い、そこで多くの絵描きに出逢い、打ちのめされながら、「自分の絵とは何か」を模索し、苦しむ。
「自分の絵にもっと説得力があったら!」
と、悔しさで涙を流すシーンに、ひどく共感。
自分たちの音楽にもっと説得力があったら!

特に、「自分の絵で人をひれ伏せさせたい!!」と激情に駆られ、悔し涙を流しながら筆を取るシーンには、本当に心ゆさぶられた。
あぁ、その気持ち、すごく分かる!
しかし、ここまで真剣にやれてたか?私…。
そんな中、予備校講師は主人公に、
トライ&エラー!
トライ&エラー!
トライ&エラー!
と、力強い言葉を繰り返し、彼を勇気づける。
その言葉に、私もハッとした。
そうだ、描いて描いて描きまくって、自分の絵を見つけていくしかない、と気づいた主人公のように、我々も、
考えて考えて考えまくって!
作って作って作りまくって!
歌って歌って歌いまくって!
いろんなことに挑戦しまくって!
「自分たちの音楽とは何か」を!
模索し続けるしかないのだ!
そう!模索し「続ける」のだ!
悩むことは、今のままじゃ駄目だと分かっていて、上を向いている証拠。すでに我々は、音声配信などトライ&エラーを繰り返している最中である。いろんな課題にぶつかるし、ヘコむことも多いけど、この意気込みは、間違ってはいなかった!やり続けることでしか、自分達のものにはなっていかない!失敗して失うものなどない!何度でも挑戦するのだ!
あぁ、いいアニメやわ!(続きも気になるし!)
よぉ〜し、がんばるどーー!!


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